トレードを続けていると、必ず同じことを繰り返して、負けてしまう、そんなことあなたも経験していますよね。どうして、人は同じ過ちを気がついているのに繰り返してしまうのかを考えてみました。
人間は理性的な存在であると同時に、感情に左右される生き物でもあります。トレードにおいても、これまでの経験から学んだはずなのに、同じ過ちを繰り返してしまうことがよくあります。
その背景には心理的要因が大きく関係しています。
「確証バイアス」
と呼ばれる認知のゆがみが原因の一つです。自分の考えを正当化したがるあまり、都合の良い情報にのみ注目してしまう傾向があるのです。
「私の売買手法は合理的で、利益は必ずあがる」と思い込んでしまうと、反証を無視しがちになります。
ウォーレン・バフェットは
「人は自分の意見を変えるよりも、状況を歪めてしまう方を選ぶ」
と言っています。
また、
「損失回避の傾向」
も大きな問題です。損失を被ることへの心理的抵抗から、エントリーのタイミングを逸したり、損切りが遅れたりします。
ナポレオンは
「勝った後の準備は敗れた時のそれほど熱心でない」
と言っていますが、まさにその通りです。
さらに
「プロスペクト理論」
という考え方が重要です。この理論は、人間が確実な利益よりも、期待値の低い賭けを選んでしまう非合理的な行動をとることを説明しています。つまり、人は損失が発生した場合に、リスクを冒してでもその損失を取り返そうとする傾向があるのです。「今こそ大きく取り返す」という考えから、過剰なリスクを取ってしまい、さらなる損失に見舞われてしまうケースが多々あります。プロスペクト理論は、損失の痛手から逃れようとする人間の心理を明らかにしています。
具体的な事例を挙げると、ある売買手法で連勝した後、「絶対に勝てる」という思い込みから、ポジションサイズを大きくし過ぎ、十分なリスク管理ができずに、結果的に大損を被ったケースがあります。
同じ過ちを繰り返さないためには、冷静に自分の心理状態を見つめ直し、認知バイアスに気づくことが重要です。売買手法の長所と短所を客観的に評価し、リスク管理を徹底する必要があります。そしてなによりも、謙虚さを忘れずに、常に学び続ける姿勢が不可欠なのです。
ベンジャミン・フランクリンの言葉を胆に銘じるべきでしょう。
「人生で一番大切なのは、自分が間違っていると認めることができる謙虚さである」
謙虚になるための具体的な方法としては、まず自分の経験を常に振り返り、過去の過ちから学ぶことが大切です。他者の意見を謙虚に聞き、自分とは違う視点を取り入れることで、物事を多角的に捉えられるようになります。また、エキスパートマインドを持つことで、自分の無知を認識し続けることができます。自分の知識や能力には限界があると自覚し、常に学ぶ心を忘れないことが肝心なのです。